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生成AIコンサルへの転職:いま入る人が押さえておきたい5つの視点

生成AI関連のコンサルティング求人は、ここ数年で着実に増えました。ただ、私たちが日々候補者や採用側とやり取りしているなかで強く感じるのは、案件の中身が二極化しているということです。一方には「まず小さく試したい」という短期の検証案件があり、もう一方には基幹業務に生成AIを組み込み、数年がかりで実装まで伴走する案件があります。年収は高めで安定しているものの、どちらの案件に入るかで、その後のキャリアの伸び方はまったく変わります。本記事では、案件タイプ・求められるスキル・ファームごとの違い・キャリア戦略という切り口で、いまこの領域に入る人が見落としやすい点を整理します。結論を先に言えば、「AI領域だから安泰」ではなく、領域のなかのどこに立つかが勝負どころです。

1. 「AIだから伸びる」は半分正しく、半分危うい

私たちが採用側と話していて毎回伝えているのは、「生成AIの領域に入れば自動的にキャリアが伸びる、という前提は置かないほうがいい」ということです。市場全体としては当面拡大していく見込みです。国内の生成AI市場は今後数年で大きく伸びるとの調査もあります([2])。ただ、それはあくまで母体の話であって、個々のポジションの先行きとは別物です。

実際、現場の肌感では「期待が先行して立ち上がったものの、検証段階の先に進めず縮小していくチーム」も出てきています。日本企業の生成AI活用は広がりつつある一方で、本格的に業務へ組み込んでいる企業はまだ多数派とは言えません([1])。流行に乗るかどうかではなく、二極化のどちら側に立つか——ここを意思決定の軸に据えてほしいと考えています。

「AI領域=この先ずっと伸びる」という見方は楽観的すぎます。伸びるのは事実ですが、領域のなかでも仕事の質は二極化していきます。ここを見誤らないことが、最初の一歩です。

2. 案件は二極化している:検証止まりか、実装まで届くか

生成AIのコンサル案件を、私たちは大きく二つに分けて見ています。

ひとつは、検証型の案件です。社内向けの問い合わせ対応や議事録の要約、ナレッジ検索といった用途で、数か月かけて小さく試すタイプを指します。ここでよく出てくるのがPoC(ピー・オー・シー:本格導入の前に、効果があるかを小さく試す検証のこと)です。チームは少人数で、業務の理解と、AIへの指示文をうまく設計する力があれば回せます。

もうひとつは、本格実装型の案件です。営業支援やコールセンター、審査業務といった基幹業務に生成AIを組み込み、既存のシステムと連携させていくタイプで、業務に詳しいコンサルタントとエンジニアが混じったチームで、年単位の時間をかけます。

両者の決定的な違いは、単価そのものよりも案件の続き方にあります。検証型は単発で終わりやすく、担い手も増えてきたため、価格の競争が起きやすい。一方で本格実装型は顧客の業務に深く入り込むぶん、途中で別の会社に切り替えにくく、複数年にわたって続くのが普通です。さらに、本格実装になるほどリスク管理の比重が増します。生成AIにはもっともらしい誤りを出してしまう性質や、個人情報の扱いといった論点がつきまとうため、業務のリスクを評価し、ルールを整える力が問われます。

ひとつ現場の肌感を共有します。検証型の案件は、立ち上げの華やかさのわりに、半年後には「面白かったが、結局どこにも組み込まれなかった」という話で終わることが少なくありません。逆に本格実装型に入った方は、最初の数か月は地味な業務理解とデータ整備に追われるものの、一年後には「この業務はもう自分が一番詳しい」という固有の強みを手にしています。短期で見ると前者のほうが目立ちますが、転職市場での評価は後者に厚くつくのが実情です。

ここで率直に申し上げたいのは、検証型の案件しか経験できないと、数年後に本格実装をリードできる人材へ脱皮するのが難しくなる、ということです。最初に入る案件のタイプは、目先の年収以上に重みのある選択だと私たちは考えています。実際、私たちが面談でいちばん時間をかけて確認するのも、提示年収の多寡ではなく、入った先でどのタイプの案件に当たる見込みがあるか、という点です。

3. 求められるスキル:「使える」から「業務に組み込める」へ

求められるスキルは、技術・業務・業界知見の三つの層で考えると整理しやすくなります。

技術の層では、生成AIを「使える」だけでは足りず、業務や既存システムにどう組み込むかを設計できるかが問われます。ここでよく登場するのがLLM(エルエルエム:大量の文章を学習して文章を作るAIの土台となる技術)やRAG(ラグ:手元の資料を参照しながら回答を作らせる仕組み)といった言葉です。これらを要件に応じて選び、組み合わせられるかが評価の分かれ目になります。私たちの実感として、SI(システム構築)出身者、PdM(プロダクトマネージャー:製品づくりの責任者)、データサイエンスの出身者は、この設計の感覚をすでに持っていることが多く、歓迎度が高いのが現状です。

業務の層では、「何ができるか」よりも「どの業務に効くか」を見極める力が問われます。業務を細かく分解し、AIに任せられる工程と人が残すべき工程を切り分ける——この作業がいちばんの難所であり、コンサルティングの伝統的な強みが活きるところでもあります。ここで一点、現場でよく見る落とし穴を共有します。「業界に詳しい、AIにも関心がある」という組み合わせだけで入ろうとすると、案外うまくいきません。技術的に何が現実的で何が無理筋かを判断できないと、顧客に過剰な期待を持たせてしまい、後で苦しくなるからです。

業界知見の層では、金融や医療、公共といった規制の厳しい分野ほど、業界固有のルールへの理解が効いてきます。逆に言えば、業界に詳しい人がAIの知識を上乗せできれば、希少性は一段上がります。「文系でもAIコンサルはできるのか」という問いには、私たちは「業界知見を軸に置くなら、条件付きでできる」と答えています。早い段階でその軸を作れるかどうかが鍵になります。ここで言う「条件付き」とは、自分の業界での業務分解を武器にしながら、技術の実現可能性を技術担当と対等に議論できる程度まで踏み込めること、という意味です。AIに関心がある、という入り口だけでは、その先で評価が止まりやすいのが正直なところです。

4. ファームによってアプローチが違う:上流寄りか、実装一体か

生成AIへの取り組み方は、ファームの種別によって明確に分かれます。ここでは個別の社名は出さず、機能のタイプで整理します。

戦略・上流寄りのファームは、経営課題としてのAI戦略づくりや、ルール整備、投資判断の伴走が中心で、実装は協業先に委ねることが多い傾向です。総合・テクノロジー系のファームは、戦略から実装、運用までを一気通貫で手がけ、社内に大きなエンジニア組織を抱える体制を強みにします。IT・テック寄りのファームは、基盤づくりやデータ整備、モデルの実装に強みがあります。シンクタンク・公共系は、政府や自治体、規制業界に向けた支援を担います。

ここ最近、私たちが採用側との会話で増えていると感じるのが、FDE(エフ・ディー・イー)という役割です。難しい肩書きに見えますが、要は「エンジニアが顧客の現場に入り込み、観察から設計、実装、運用までを一気に担う」働き方を指します。従来のように資料で提案して終わりではなく、顧客と同じ机で手を動かして仕上げるイメージです。検証止まりを越えるために、こうした「現場に入り込むエンジニア」を抱える動きが、国内でも少しずつ広がっています。

ただし、その呼び方や組織上の位置づけはファームごとにまだバラバラです。求人のタイトルだけ見ても実態は読み取れません。私たちが候補者にお願いしているのは、面接の段階で「検証より先のフェーズに、自分が当事者として入っていける座組みになっているか」を必ず確認することです。ここを曖昧にしたまま入ると、入社後に「結局、検証ばかりだった」というすれ違いが起きがちです。

5. これから入る人のキャリア戦略:3つの分岐点

これから生成AIコンサルに入る人が考えておくべき分岐点を、私たちは三つに整理しています。

一つめは、役割の選び方です。業務の分解や戦略づくり、変革の推進が中心のコンサル型と、現場で実装まで担うFDE型とでは、数年後に積み上がる経験がまったく違います。技術出身の方はFDE型に直接乗る選択肢が現実的ですし、ビジネス側出身の方は、まずコンサル型で業務分解の力を磨きながら、案件のなかで実装に近い領域へ少しずつ越境していく道が向いています。

二つめは、案件の偏りを避けることです。最初の数年で検証案件ばかりだと、その後のキャリアが頭打ちになりやすい構造があります。入社前に「本格実装型の顧客を抱えているか」「検証の先に続く案件がどれくらいあるか」を確認しておくとよいでしょう。

三つめは、早い時期の動き方です。需要が強いいまこそ、「何をやったか」がその後の市場価値を左右します。私たちの実感では、20代後半から30代前半は、上流の戦略づくりと現場の実装の両方に触れられる配属を優先する価値が高い時期です。

最後に、あえて反証も置いておきます。AIの領域は技術の移り変わりが速く、いま希少なスキルが数年で誰でもできる作業になる可能性は十分にあります。逆に、業務や業界、規制への理解、そして検証を本番運用まで持っていく実装力は、時間をかけて積み上がる資産で、簡単には陳腐化しません。目先の単価よりも、長く積み上がるスキル設計を優先することを、私たちはおすすめします。

RafLogicでは、コンサルファーム各社の生成AIに関する体制や案件の構成、採用要件を、一次情報をもとに把握しています。「いま自分はどの役割に合うのか」「検証偏重を避けた配属が得られそうなのはどこか」といった点を含め、個別にご相談いただけます。

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