経営企画で中期計画の取りまとめを担当していたのですが、あるとき自分の仕事が「決まった方針を数字に落とし込む作業」に寄っていることに気づきました。事業部から上がってくる前提をそのまま受け取り、体裁を整えて経営会議に載せる。そのサイクルを何度か回すうちに、「そもそもこの前提は正しいのか」という一番手前の問いに、自分は踏み込めていないと感じるようになりました。計画を立てる仕事はしていても、論点そのものを立てる経験が薄い。この違和感が起点でした。
最初は事業会社の中で異動する選択肢も考えました。ただ、社内で得られる問いはどうしても自社の事業構造の内側に限られます。前提を疑う訓練を短期間で積むなら、業界も論点も毎回変わる環境のほうが向いていると考えました。総合系やIT系のファームも比較検討しましたが、実行支援よりも「何を解くべきか」を定義する工程に自分の関心があると整理でき、上流の論点設計を主戦場にする戦略系に絞りました。年収の上振れは結果としてついてくるもので、選定の主語には置かないようにしていました。
複数のエージェントと面談しましたが、多くは「経営企画の方は書類が通りやすいですよ」という一般論で終わっていました。ラフロジックの面談は違って、私の職務経歴書を見ながら「この中計の取りまとめで、あなたが自分で立てた論点はどれですか」と具体的に掘ってくる。その場で自分の経験の弱点がはっきり見えました。決め手は二つで、コンサルタントの方がコンサル側の評価基準を翻訳して返してくれたことと、面接対策を戦略系ファーム出身の方が直接担当してくれる体制だったことです。
ケース面接の対策です。元戦略系ファームのマネージャー経験者の方に、市場規模推定と収益性の論点整理を中心に、都合5回ほど模擬面接をしていただきました。最初の2回は、私が経営企画で染みついた「まず情報を集めてから考える」癖が完全に出てしまい、論点を切る前に数字を並べようとして詰まりました。フィードバックで「集める前に、何が分かれば結論が変わるのかを先に置く」という順序を叩き込まれ、3回目以降で手応えが変わりました。経営企画の資料作成力は財産だが、そのままでは通用しないと早い段階で突きつけてもらえたのが大きかったです。
良かったのは、自分の経験を「計画立案」ではなく「経営の意思決定に使う材料を設計する仕事」と捉え直せたことです。同じ経歴でも、語る角度を変えるだけで面接での通りが変わりました。反省点は、準備の初期に自分の強みを過大評価していたことです。取りまとめ経験があれば論点設計もできるはずだと思い込んでいましたが、実際には別のスキルでした。そこを早く認めていれば、対策の立ち上がりはもう少し速かったと思います。
最終的には、扱う論点の幅と、入社後に自分が身につけたい思考の型が一番はっきりしていたファームを選びました。面接の過程で出された論点が、自分にとって「解いてみたい」と素直に思えるものだったこと。そして、経営企画で培った数字への感覚を、上流の意思決定に活かせる余地が大きいと感じられたことが決め手です。処遇面も納得できる水準で提示いただきましたが、判断の軸はあくまで、どんな問いに向き合い続ける環境かという点に置きました。
経営企画の方は「上流の仕事をしてきた」という自負を持ちがちですが、計画を立てることと論点を立てることは別物だと、まず認めるところから始めるのがいいと思います。私は自分の経験を棚卸しする過程で、自分で問いを立てた場面が想像以上に少ないことに気づきました。そのギャップを直視できると、対策すべき点が具体的になります。取りまとめや数字の感覚は間違いなく武器になるので、そこに論点設計の型を足していく、という順序で準備すると通りやすいはずです。