日系大手製薬会社を経て、リクルートで採用コンサルタントとして4年間従事。IT・コンサル業界の採用戦略策定・人材要件定義を支援し、複数回表彰・部MVPを受賞。
大手メーカーの生産技術として、工場の製造ラインの改善や設備投資の検討を担当していました。日々、目の前の工程の歩留まりやコストと向き合う仕事です。ただ、ある改善プロジェクトで、工程を最適化しても、その前後の調達計画や在庫の持ち方が変わらなければ全体の効果は限定的だと痛感しました。自分は一つのラインは良くできても、サプライチェーン全体を動かす立場にはいない。もっと広い範囲で改善の眼を活かせないか、と考え始めたのがきっかけです。
正直、コンサルは自分とは縁遠い世界だと思っていました。ただ、製造・SCM領域なら、工場でやってきた改善の考え方が、そのまま企業全体の課題に通じると気づきました。事業会社の中で調達や生産管理に異動する道も考えましたが、それだと結局一社の中の話にとどまります。複数の製造業の現場に関わり、工程の視点から全体最適を設計する仕事なら、現場を知っている自分の強みが活きる。未経験でも、製造という土地勘は他の候補者にはない武器になると考えました。
工場勤務からコンサルへというのは前例が少ないのではと不安で、複数のエージェントに当たりました。多くは「未経験だと難しい」と及び腰でしたが、ラフロジックのコンサルタントの方だけは「製造・SCM領域はむしろ現場を知る人材が求められている。あなたの改善経験は再現性のある型として語れます」と、可能性を具体的に示してくれました。決め手は二つで、未経験を弱みではなく現場知見という強みに置き換えてくれたことと、製造領域に特化したケース対策を用意してくれたことです。
製造業を題材にしたケース面接の対策です。最初の模擬面接で、私は工場での改善事例を「この設備をこう変えて歩留まりが上がった」と、あくまで一工程の話として語ってしまいました。コンサルタントの方から「その改善は、なぜ効いたのかを一般化できるはず。他の現場でも再現できる論点として語りましょう」と指摘を受け、自分の経験を型として抽出する練習を重ねました。模擬面接は5回ほど行い、コスト構造やリードタイムを題材にしたケースで、現場の肌感覚を論点整理に翻訳する訓練を続けたことが手応えにつながりました。
未経験での挑戦なので、条件は選べる立場にないと思い込んでいました。ただコンサルタントの方から、製造現場の実務知見はこの領域では希少で、そこは正当に評価されるべき部分だと助言をいただきました。私の改善経験を具体的な価値として整理し、丁寧に伝えていただいた結果、未経験入社としては納得感のある水準で条件を設計してもらえました。金額そのもの以上に、自分の現場経験がコンサルの世界でも値づけされるのだと知れたことが、挑戦への後押しになりました。
製造・SCM領域の案件比率が高く、現場に足を運ぶスタイルの支援を重視しているファームを選びました。机上の分析だけでなく、実際の工場に入って改善を設計する案件が多いと聞き、自分の強みが最も活きると感じたことが大きいです。面接で会った方々が、工程改善の実務経験をむしろ歓迎し、現場を知る人材として期待してくれたこと。未経験という不安よりも、これまでの経験が新しい舞台で通用するという確信を持てた点が、最終的な決め手になりました。
製造現場からコンサルへというと、多くの方が未経験だからと最初から諦めてしまいます。ですが私が伝えたいのは、現場での改善経験は、語り方次第で立派な強みになるということです。大事なのは、一つの工程で起きた改善を「なぜ効いたのか」という一段抽象化した論点に置き換え、他の現場でも再現できる型として語れるかどうかです。私はこの型への言い換えに一番時間をかけました。現場を知っていることは、製造領域では希少な価値です。未経験を引け目に思わず、経験を型に翻訳する準備をおすすめします。